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2018.06.28
CIC分析:ゴム試料への適用(2018/06/14-15、首都大学東京にて)
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ハロゲン・硫黄自動燃焼分析システムの高速化及び多元素
分析への適用(その6) : ゴム試料への適用

(株)ナックテクノサービス

長嶋 潜

1.はじめに

燃焼部とイオンクロマトグラフ(IC)を組み合わせ、この10数年の間に①有機微量元素分析用、②JIS対応型環境試料用及び③高温燃焼有機・無機兼用型のハロゲン・硫黄自動燃焼分析システム(CIC)を開発し市場に提供した。このうち、有機微量元素分析では、4種ハロゲン(F, Cl, Br, I)と硫黄の多元素同時分析法、ウルトラミクロ量による超微量分析法、さらに主流のCHN分析に一歩でも近づくため燃焼時間及びクロマト展開を含めて分析法の高速化を検討した1)。今回、東ソー㈱にて新規開発された高速・高分離カラムを具備した高性能ICシステムを使用する機会を得たので、演者らの開発した自動燃焼分析システムと組み合わせた。その結果、有機ハロゲン(F,Cl,Br,I)及び硫黄計5元素を同時に、1時間当たり6検体連続測定できることを確認した。新らたな試みであることから、分析法確立に至るバリデーションデータを得ると共に、近年JIS化されたゴム試料(JIS K6233-2016)中の全硫黄分析に適用したので報告する。

2.実験及び結果

Table1

2-1. 分析システム

東ソー㈱製イオンクロマトグラフィーシステム(IC-2010)に、㈱ヤナコ機器開発研究所製の燃焼炉(HNS-15)、吸収ユニット(HSU-15)及びオートサンプラー(THA-25)を組み合わせた。測定条件をTable 1に示す。試料1~20mgを白金又はセラミックボートにはかり取り、オートサンプラー(24点)にセットすると燃焼、吸収及びクロマト展開に至るまで全て自動的に行われる。
定量は標準試料NAC-st4(C12H7NO2FClBrIS,MW:490.51)を用いて有機検量線法により行った。

Fig.1

Fig.1 NAC-st4:3.0mgより得られたイオンのクロマトグラム

Table2
Table3

2-2. バリデーションデータ

要求される項目に従い検証データを取得した。
NAC-st4 を燃焼して得たクロマトグラムをFig.1に示すが、ヨウ化物を含めても8分以内に溶出し、いずれもシャープなピークを示している。5種イオンの理論段数をTable 2に示す。特にSO4では11,000と高理論段数を示している。
ICの有機検量線法による検量線作成に必要な二次近似関係式をTable 3に示す。いずれの元素(イオン)もR2:0.999以上の良好な相関係数(R2)を得た。


3.ゴム試料への適用

Table4

Table 4 タイヤ試料中の全硫黄分析例

ゴム・ICによる全硫黄の求め方
(定量)JIS K6233は、ISO-19242の技術的内容、構成をもとにJIS化された。対象は原料ゴム、未加硫及び加硫配合ゴムである。試料の前処理には酸
素フラスコ燃焼法と管状炉燃焼法が用いられる。全硫黄量0.1%未満及び硫酸バリウムなどの不溶性硫酸塩を形成する金属を含む場合は後者の管状炉燃焼法が適している事が本文の注記に記載されている。
タイヤ試料中の全硫黄分析に適用したので、一例をTable 4に示す。加熱温度を900℃から1,100℃に上昇しても、また燃焼助剤の酸化タングステンを添加しても、2例いずれも一定の分析値を示した。このことから、タイヤ中には亜鉛など金属を含むが、全硫黄分析に影響は見られない。
現在、全硫黄に引き続きゴム試料中の全塩素及び臭素のISO→JIS化作業が行われている。

文 献

1) 長嶋 潜、出羽 好 :分析化学:分析化学, 66, 81(2017).

Speed-up of halogens and sulfur auto-combustion analytical system and application to multi-elemental analysis (6) : Analysis of rubber samples

○ Hisomu Nagashima (NAC Techno service Co., Ltd.)

Abstract
A multifunction halogens and sulfur combustion analytical system has been developed by coupled Ion chromatography (IC). In this study, the developed system was connected with efficient Ion chromatograph IC-2010 by TOSOH, and the high-speed analysis was possible to do. The multi- elements of F, Cl, Br, I and S were able to be analyzed six organic samples in 1 time. This method was applied to the analysis of total sulfur in the rubber samples.